卵(たまご)のはなし

「鶏(にわとり)が先か?、卵(たまご)が先か?」というお話は昔からよく聞くお話ですね。
それはさておいて、「鶏は生まれてからどのくらいで卵を産み始めるのでしょうか?」、また、「1羽の鶏は、どの位の卵を生むのでしょうか?」、「卵を産むためにはどれくらいの量の飼料が必要なのでしょうか?」 などなど、知っているようで知らないいろいろなマメ知識をご紹介します。

Q. 1羽の鶏はどれくらいの卵を産むことができるの?

鶏の体の中で卵ができるまでは、だいたい24時間±1時間くらいかかります。
ですから、ふつう、鶏は1日1個の卵を産むのが限界で、1羽の産卵鶏が生む卵は1年間で最大365個ということになります。

Q. 卵1kgを生むのに必要な飼料の量は?

産卵中の鶏は、1日に約100~120g位の飼料を食べて、1個の卵を産みます。卵1個の重さは、おおよそ60gですから、生まれる卵の約2倍量の飼料を食べていることになります。
したがって、卵1kgができるためには2kg強の飼料が必要ということになります。

Q. 鶏のちがい(肉養鶏と産卵鶏)

鶏は、東南アジアの密林や竹林に生息しているセキショクヤケイに由来していると言われており、卵を産む鶏(産卵鶏=レイヤーと呼ばれます)と、お肉になる鶏 (肉用鶏=ブロイラーと呼ばれます)では品種が違います。

肉養鶏は、とても速く成長し、若い日齢でお肉になります。一方、産卵鶏は、ブロイラーより成長スピードが遅く、卵を産む期間も長くなっています。

Q. 卵から雛(ヒナ)の誕生 ~ 卵の産み始めから終了まで

卵から雛(ヒナ)の誕生

卵が生まれてから雛が孵化するまでには21日間かかります。
孵化した雛は、清潔で温度と湿度を管理した育すう器ですくすくと育ちます。

卵の産み始めから終了まで

孵化した雛が卵を産むまでは、おおよそ140~160日かかります。その間、雛から中雛、大雛へと成長し、最後には卵を産む立派な産卵鶏になります。
本来、産卵鶏の寿命は10年を超えると言われておりますが、年々卵を産む量は減っていき、7~8年程度で卵を産まなくなります。皆さんの食卓に届けられる卵を産む産卵鶏は、最も卵を産んでくれる期間(産卵が開始され てからおおよそ14~16か月程度)飼育されたのち、新しい産卵鶏に更新されます。更新された鶏は、加工食品用の鶏肉として使用されます。

Q. 卵黄の色や卵殻の色の違い

産卵鶏の写真は株式会社後藤孵卵場のホームページから

卵はとても栄養バランスの良い食品です。
「黄身(卵黄)の色が濃いものの方が栄養が多い」、とか、「赤玉(褐色の殻の色をした卵)の方が白玉の卵より、栄養が多い。」と思われているケースがありますが、 実際はどうなのでしょう?

産卵鶏というとたぶん頭に浮かぶ羽毛が白い産卵鶏は白玉を、羽毛の色が褐色の産卵鶏 は赤玉を生みますが、白玉と赤玉では栄養の構成はほとんど変わりません。

卵黄の色の違い

黄身(卵黄)の色は、鶏が食べた飼料の原料に影響していて、トウモロコシ、パプリカやアルファルファ等の油に溶けやすい黄色の色素を多く含む飼料を 食べた鶏は、黄身の黄色味が濃い卵を産みます。

トウモロコシを配合した飼料と、黄色い色素を持っていないお米を配合した飼料を 食べさせた産卵鶏から生まれた卵。卵黄の色は、食べている飼料に含まれている色素に影響されるということが良くわかりますね…

Q. 卵とコレステロール

「卵を食べるとコレステロールが溜まりやすいので、あまり食べない方がよい」というお話が昔からよくありました。しかし、最近になって、学術的にその考え方が変わりました。「卵は1日に2個以上食べても大丈夫」というものです。

食品から摂取するコレステロールは動脈硬化や脳卒中に影響を及ぼすと考えられていましたが、食餌から摂取するコレステロール量と血中の総コレステロール 量には直接的な関係はなく、血中の総コレステロール量は人の体内で調節されることから、厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準」を見直し、2015年に1日のコレステロール摂取基準を廃止しました。

コレステロールは私たちの体には、必要不可欠なものです。多すぎても、少なすぎても良くないので、バランス良く摂取することが大事です。