トウモロコシからのエタノール生産と併産物のDDGS

穀類を原料としたバイオエタノールの生産は世界各地で行われており、それぞれの地域で多く収穫されている穀類(米国ではトウモロコシ、カナダやEUでは小麦)が利用されており、日本でも量的には少ないもののコメを用いたエタノール生産が行われています。できあがったバイオエタノールは、主としてオクタン価を向上される目的で自動車用のガソリン混合されています(エタノールを10%混合したものは”E10”、15%混合したものは”E15″と表記されています )。

トウモロコシを用いたバイオエタノール生産は以下の工程で行われます。

トウモロコシのでん粉含量は約65%で、残りの35%はたん白質、脂肪、繊維、ミネラルが占めています。発酵はデンプンを原料として行われ、デンプン重量の1/2がエタノールに、残りの1/2が炭酸ガスとなります。生産されたエタノールは蒸留されて自動車用燃料として使われ、炭酸ガスは炭酸飲料用途などに使われています。
 エタノール発酵に利用されなかった部分(全体の1/3)には、元のトウモロコシに比べてたん白質、脂肪、繊維、ミネラルなどが3倍量に濃縮されて残っている ことから、DDGS(ドライド・ジクチラーズ・グレイン・ソリュブル)と呼ばれて、家畜や水産養殖用の飼料として広く利用されており、最近では、ペットフードの原料として の利用も始まっています。また、近年は、DDGS製造工程で油を抽出して、鶏用の油脂原料やバイオディーゼル用の原料としても利用されています。
(注)トウモロコシDDGS
 Corn Dried Distiller’s Grains with Solublesの略で、トウモロコシをハンマーミルなどで乾式製粉してから糖化~発酵~蒸留の工程で生産されるバイオエタノール製造の併産物で、トウモロコシ蒸留粕と呼ばれることもある新しい飼料原料です。なお、生産されるエタノールだけではなく、同時に生産される蒸留粕も有効に利用しようということで、副産物(By-products)ではなく併産物(Co-products)と位置付けられています。